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3. 名詞の話し

3.3 階層的な構造で使う名詞


3.3.6 コンピュータ言語の中での名詞は定義と宣言で決める

 プログラミング言語は、英語の構文法を色濃く持っていますので、プログラミング言語を理解するとき、英語の習慣から説明すると納得が得易いところがあります。名詞は、構文上の位置として主語と目的語に現れます。主語は、プログラマ本人か、コンピュータか、です。構文は、コンピュータを擬人化して対話の相手とする考え方です。プログラマの意思をコンピュータに知ってもらう目的語は、定義と宣言とで決めます。名詞を主語に立てるのは、宣言文と、数式の代入文の左辺がそうです。コンピュータに指示するのは命令文ですが、ここには動詞が使われます。プログラム文の中で、目的語(object)として使う名詞に当たるのが変数です。変数の中身は属性です。英語のobjectは、物と事との両方の意義を持つ抽象名詞です。日本人は物だけを意味すると短絡的に考え易いので理解の混乱を起こします。英語の用語「object oriented program」は、日本語に訳し難いので、カタカナ語のオブジェクトを使い、orientedに指向を当てるのですが、この全体を直ぐに納得するのは難しいでしょう。プログラム文の中での名詞、ここでは変数になりますが、「変数とはこういうものだ」とする定義を、ハードウエア的に、変数の型として前もって決めてあります。高級なプログラミング言語は、プログラマが定義することができます。変数は可算名詞の性格をもち、配列が集合名詞に当たります。また、定数は固有名詞の性格を持ちます。名詞は個々を識別する固有の名前が必要です。名前を付けて登録することで、始めて中身を参照できます。これが宣言です。集合名詞も含め、成分を個別に識別する方法が必要ですので、中身を順序数(index)で区別します。集合は、何層かの階層で仕分けする分類が必要になるとき、多次元の配列に構成します。C言語の構造体共用体は、プログラマが変数構成を定義と宣言とをして利用するデータ構造です。集合名詞として全体を一つの名前で単数扱いをすることも、また個別の中身を扱うこともします。C++言語になると、集合名詞のデータを扱う概念にclassも使います。
2010.3 橋梁&都市PROJECT

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