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3. 名詞の話し

3.3 階層的な構造で使う名詞


3.3.4 代名詞は名前を省略する言い方に現れる

 物の名前、または言い方が分らないとき、または、名前の代わりに使う言葉が代名詞です。日本語には「あ・こ・そ・ど」を付けた「あれ・これ・それ・どれ」、「あの・この・その・どの」が当たります。「あれ・これ」と「あの・この」はthisとthatが当たります。複数形のthese, thoseの区別に当たる言葉は、「ら」を付けた「あれら、これら、それら」があります。英語で言うならば、定冠詞を付ける言い方であって、話している対象を限定します。英語で定冠詞theと不定冠詞aの使い分けは日本人には難しいのですが、英語のnative speakerが一々理屈を考えているわけではありません。ドイツ語の定冠詞群(der desなど)は、名詞の単複、性別、主語目的語などの用途、などで複雑に変化します。そこで、ドイツ語のnative speaker以外は、ごまかしてdだけで済ますことをします。そう考えて、英語のtheはドイツ語からの借用語を単純化したのだとする説があります。日本語の感覚から説明するならば、定冠詞は「あの・この・その」と言える状況で付けると覚えます。人称代名詞は、本人の名前を言う代わりに使います。日本語の言語習慣には、欧米語の人称代名詞のような限定的な言葉がありませんので、種々の言い方があります。「彼・彼女」は、翻訳語に使われて一般化しましたが、恋人の言い換えの意味を持ちます。日本語の環境では、個人名を直接使うのが普通です。
2010.3 橋梁&都市PROJECT

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