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3. 名詞の話し

3.1 言葉を覚える過程


3.1.3 読み易さを助ける漢字かな混じり文書

 日本語の文書は分かち書きをしませんので、語の切れ目を眼で確認して、頭の中で声に直して読んでいます。言葉は時系列ですので、後戻りをしないと理解できない書き方があると、読み難いと感じます。部分的には、漢字は、その送り仮名を見て読み方(音と訓)を修正することをしています。これが、先読みか、後戻りか、に当たるのですが、ほとんど意識しない瞬間で分ると早く読めます。文章の書き手は、読まされる側が読み間違えないように、気配りをすることが必要です。英語文書は、語単位で分かち書きをすることと、語順で語の用途が決まりますので、コンマとピリオドの使い方に文法的な規則があります。日本語の文書では、「てにをは」の助詞を付け、送り仮名を付けますので、語の用途が分り、語順を変える自由度があります。日本語の句読点のうち、特に、読点(、)の使い方には規則がありません。書いてある文書は、頭の中で声に直すのですが、このとき、句読点や括弧を読みません。そこでは、音を切るか息継ぎに使う場所です。括弧で括った部分は、主文とは別に、声を落とす気分で読むか、読み飛ばしをします。この読み方のとき、図形としての漢字が重要な働きをしています。このことは、無意識ではありますが、漢字に焦点を当てた字面解析(じずらかいせき)をしています。この理解方法を、コンピュータにやらせようとする研究が、意識的な字面解析です。成功率は惨めなのが現状ですが、それは元の文章が良くないことの方が主な原因です。パソコンが普及してきましたので、パソコンの利用を考えて、文書作成技術を見直すことを提案してもよい時代になりました。比喩的に言えば、パソコンを、全く言葉を知らない幼児と見て、辛抱強く、言葉を覚えてもらうにはどうするか、になるのです。
2010.3 橋梁&都市PROJECT

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