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3. 名詞の話し

3.1 言葉を覚える過程


3.1.2 象形文字の価値を認識すること

図3.2 Petit Larousse illustre’のページから
 漢字は中国で生まれ、工夫の積み重ねが何千年も続けられてきた文字です。この造語法は、物の形に似せて作る部分(偏など)と、音を表す部分(旁:つくり)を組み合わせて意味を表します。漢字は、眼で見て分る象形文字(hieroglyph)の性格がありますので、読み方が分らなくても意味を伝える手段に使うことができます。読みは、中国でも時代と地域によって変化があり、日本では日本風に変化します。しかし、音声による話が通じなくても、双方で漢字を知っていれば、筆談で意思を伝え合うことができます。漢字を覚えることは、絵を媒介として言葉を覚える方法でもあります。筆者の経験をお話します。パリからスイスに向かう列車の中で、前の席に座ったご婦人が、筆者が日本人であると知って、漢字を趣味として勉強していると話してくれました。「木」の字を二つ並べると「林」、三つ並べると「森」を表すことを面白がっていました。そこで、「林」は人工的に木の集合を作った場所、「森」は自然状態で木が集合した場所の意味を持つ、と説明したところ、非常に喜んで、納得もしてくれました。漢字は、字形を見た瞬間に意味を直感的に理解できる便利さがありますので、文書にしたものは、漢字だけを拾い読みしても大意が分ることがあります。中国のテレビ放送で漢字の字幕が表示されるのを見るとき、このような理解方法もしています。 
2010.3 橋梁&都市PROJECT

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