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2. 日本語文書の構造

2.7 作文指導法


2.7.3 英語の素養が必要であること

 外国語を習うことの目的は、海外旅行などでその地の言葉での交流もありますが、日本では、その言語で書かれた文書から知識を吸収することに重点がありました。この学習法は、音声の方を幾らか軽く扱います。例えば、英語の学習の定型的な応用は、日本語に直す英文和訳です。このとき、文法の知識を学習しておいて、辞書を利用して単語の意味を調べます。逆に、日本語から英語に直す英作文、つまり和文英訳が必要になることは非常に限られていて、受験英語のような特殊な場面に現れる程度でした。コンピュータを使うときの人工言語がプログラミング言語です。プログラムを作成することは、一種の和文英訳です。コンピュータ言語は、英語の影響を色濃く持ち、英語圏の人は、これを英語の特殊な方言(dialect)として扱います。日本人がプログラミングを学習するときは、英語の基本的な知識があって、見本とするプログラムの実物を理解することから始めます。これは英文和訳の段階に当たり、使われているキーワードの知識と文法をマニュアルで調べます。これは辞書の利用に当たります。プログラミングは英語方言を使う英作文に当たります。何を言いたいのかの目的別に単語の選択や表現法を選びますので、遠回りのように見えても、まず、論理的な日本語での作文技術を踏まえた上の話しです。
2010.2 橋梁&都市PROJECT

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