目次ページ  前ページ  次ページ

2. 日本語文書の構造

2.6 漢字熟語の語順


2.6.3 熟語の作り方の規則が二つあること

 漢字を2字使う熟語の作り方は、本家の中国では規則性があります。動詞に使う漢字は(この言い方は筆者の品詞分類法です)、熟語に構成するときに、「動詞・動詞」とするか「動詞・目的語」の順に並びます。先に出る語が第一義で、続く方が意味を補います。語順から言うとVOを踏まえています。中国語を真似て、日本で造語した熟語を和製漢語と言い、特に、中国人には通用しないものを言います。例として「落馬・離島・水防」を挙げましょう。落馬は、中国人の理解は馬の方を落とす、または馬が崖から落ちる意義に理解します。日本語では、人が馬から落ちる意義で使いますので、日本語の辞書に説明が載ります。離島も、人が島から離れる意義で中国人は理解します。もともとの日本語は、連体形で使う「離れ島」であったのですが、「れ」を送らない書き方を音読みにして熟語化しましたので、言葉を乱した使い方です。水防は、洪水のときに活躍する水害防止を詰めた和製漢語です。中国語風の言い方ならば防止水害から防水となり、文としての文字並びです。似た使い方は、ひけし(火消し)があります。漢字を当て、送り仮名を取ると、火が消えた意味に取られます。情報は敵情報告を詰めた熟語であって、森鴎外が始めた和製漢語と言われています。中国流の語順は報告敵状です。このように見ていくと、漢字を音読みにするか訓読みにするかを助けるには、適切な送り仮名をつけることです。日本語では、動詞に連体形や連用形があり、これが修飾語として前に出ます。送り仮名を省いて熟語に作るのが和製漢語です。耳で聞いても分かる文章口語体の書き方は、送り仮名を適切に使う必要があります。このとき、送り仮名は漢字の後に付けますので、眼で見て文字の先読みをしなければなりません。
2010.2 橋梁&都市PROJECT

前ページ  次ページ