目次ページ  前ページ  次ページ

2. 日本語文書の構造

2.6 漢字熟語の語順


2.6.1 眼で見て確認する読み方をする漢字

 漢字は日本語の中に取り込まれて、日本語の重要な語彙を構成しています。しかし、元は中国からの輸入文字ですので、日本古来の和語の読みとの同居が多くの問題を起こしています。その一つは、漢字を日本風に読むときの読み方が何種類もできたことです。加えて、多くの同音意義の熟語があります。正確さを確保するには、文書に書きますが、そのまま話し言葉に使うと、やや不自然になることと、同音異義語の解釈違いで、間違って理解されることがあります。文書に書いたものを読むときは、頭の中で音声に直して理解しています。英語でも、acronymは、読み方が複数になることがあります。文字を介さない対話の中では、それまでの状況から、どの意義の熟語であるかを瞬時に判断しています。これが、第2.3節で説明した予測と修正です。文書を字形によって意味を補う読み方をする方法は、日本独特です。ところが、最近のコンピュータのプログラミング言語は、英字の大文字と小文字とを別の文字としてコンピュータに認識させることが増えています。人の方では、眼で字形を確かめながら読み書きする必要があります。これは同音異義語が使われるようになったことと考えることができます。そうなってくると、日本語の文書の書き方は、情報伝達には最先端の方法です。振り仮名を付けると、音も、不十分ながらも記録できます。音声を記録する表音文字だけの表記法は、情報伝達の日常道具として不便になってきました。ただし、絵文字(pictograph)となると、読みようがありません。
2010.2 橋梁&都市PROJECT

前ページ  次ページ