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2. 日本語文書の構造

2.2 文体と口調


2.2.2 格式を持たせる言い方があること

 日本語の話し言葉は各地で方言差もありますので、同じ言い方でも違う意味に取られることがあります。例えば、東京弁は、「ひ」を「し」と発音しますので、「おしさま・しのまる」になります。したがって、言文一致の文章言葉も、くだけ過ぎた表現にならないような、適度な約束が必要です。文章口語体の特徴は、文末の表現法での違いで二つあります。「である調」と「です・ます調」です。前者は、文語の影響を残し、やや格式ばった表し方であって、話し言葉で使うよりも、学術論文のような書き言葉に見られます。後者は、「である調」を丁寧な会話の物言いにしたスタイルであって、耳で聞いて理解できるように、意識的に訓読みを使うようにします。字音語は、漢字を眼で確認しないと誤解されることがありますので、口語体での文章は、字音語の熟語に訓読みの説明を補うこともします。そうすると、欠点として字数が多くなります。丁寧な言い方は、くどくなり易いので、簡潔で要点を押さえた書き方の工夫が必要です。簡潔が過ぎると省略に繋がります。書く本人は内容を理解していますが、読み手は必ずしも同じレベルにはいませんので、第三者に見てもらうことが必要になります。これが校閲です。文学作品は、文章に表れない部分を読者が感性で補う楽しみ方もします。文学作品の評論や解説は、行き過ぎると、読者にとってお節介になります。人間社会では、上に立つ人の言葉数が少ない曖昧な態度に対して、下のものが気を回すのも見られます。第三者を間に入れるか、書面にして、具体的に話を進めます。筆者は、これを公家風(くげふう)と言うことにしています。しかし、現代は説明責任が問われる時代ですので、誤解が起きないように直接話しを交わすルールが必要になっています。
2010.2 橋梁&都市PROJECT

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