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2. 日本語文書の構造

2.2 文体と口調


2.2.1 書き言葉も声に直して読むこと

 文字に書いてある言葉を読むとき、頭の中で声に直しています。言葉を文章で表すときの様式(スタイル)が文体です。これをそのまま声に出して言うとき、そのスタイルの口調と言います。文語体・文語調などと使い分けます。声に出すときは、アクセント(強勢)とイントネーション(抑揚)も重要な要素です。漢字は、中国語を発声する環境では四声の区別がありますが、日本語の書き言葉にすると、この区別ができません。また、例えばkwaの音を「くぁ」と発声するのを、「か」で言うような単純化もあって、同音異義語が増えました。日本語の環境で一方的に話すときの言い方には、漢文調、演説調などもあります。対等な立場での会話の言葉遣い(話し言葉)とは異質です。明治時代の作家、二葉亭四迷が始めたとする言文一致のスタイルが口語体です。正確に言いたいときは、文章口語体と言います。作家のペンネームも「くたばってしまえ」のもじりだそうです。聞いて判り易い言葉遣いの技術を話術と言います。言文一致のスタイルの研究には、当時の落語の口演筆記を参考にしたとされています。文字表記は約束ごとですので、必ずしも文字通りに発声するのではありません。例えば、主語を表す「わ」の発音は、書き言葉では接尾辞に「は」と書く決まりです。読み方の変化は音便(おんびん)として表れ、それが書き方に影響を与えています。逆に、ワープロで熟語の仮名漢字変換をするとき、例えば、学校は「がくこう」ではなく、「がっこう」でないと出てこない規則(アルゴリズム)になっています。
2010.2 橋梁&都市PROJECT

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