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2. 日本語文書の構造

2.1 読みの仮名表記


2.1.3 文字選択が多いので厄介であること

 日本語(和語)の読みに漢字を当てると、意味を限定する利点があります。例えば動詞の「とる」に当てる漢字は、ワープロの仮名漢字変換を通すと、何種類かの候補がでてきます。眼で見る文書にするときは、適切な漢字を使うと意味を補う利点があります。中国語の熟語を、訓読するときの漢字を当てるのを目安にします。「写真を撮る」と言うときは、撮影が意識された選択です。動詞の意味を限定する方法は、英語の動詞にもあります。他の語と組み合わせて使うことで意味が限定されますので、この組み合わせ単位を"phrasal verb"(句動詞)と言います。英語の翻訳のとき、単語単位で意味を当てる方法を逐語訳または直訳と言います。そうすると、複数の単語の集合で意味を表す慣用句は、意味不明の訳になることがあります。この点では、中国語の漢字熟語の作り方は、日本人にとっては合理的です。英語の慣用句は、構成単語単位が性別や時制で変化することに加え、並び順も変えることがあります。句動詞に使う前置詞は、位置が変わることがありますので、英文和訳はパズルを解読するような技術が必要になります。単語並びの順番は、言語構造では非常に重要な要素です。英語や中国語は、単語の位置で品詞と意味が限定されるのに対して、日本語では、助詞の「てにをは」を付けることで、語の並びを変える自由度が大きいのが特徴です。
2010.2 橋梁&都市PROJECT

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