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2. 日本語文書の構造

2.1 読みの仮名表記


2.1.2 漢字は一文字一音節であること

 漢字は、中国語の環境では一文字一音節一意です。日本に輸入されたとき、中国語の発声を仮名で近似的に表す方法を工夫しました。しかし、仮名二文字以上を使わないと漢字一字の音節を表すことに無理があります。漢字の音表現を仮名に置き換えると、音読み・訓読み共に仮名文字数が増え、音節の数え方が変わります。口語体の文章は、耳で聴いて分かる言葉並びにしますので、眼で見ながら読む文書に直すと字数が多くなります。意味を理解するとき、仮名の並びから漢字相当の音節単位を区切り、さらに品詞に分別することが、日本語形態素解析の考え方です。漢字が一字で一音節を表すことから、元の中国語の漢字の読み方は、音楽的なリズムを持ちます。二字熟語や四字熟語は、二拍と四拍のリズムに乗ることと、一字よりも意味を限定します。日本語として使うとき、同数の片仮名では足りません。漢字一字に片仮名二字を当てると収まりがよいので、二字の漢字熟語の音読みは仮名四文字を当てると馴染みます。欧米のアルファベットで表した語の読みをカタカタ表記にすると、文字数、つまり音節単位が増えます。個別の子音にも仮名を当てるからです。これを省略語にする造語法は、仮名4文字を使うとリズムがよく、「マイコン・パソコン」などのように利用されます。耳で聴いた音を仮名文字で表すと、元のスペル(綴り)が全く分からないことも起こります。日本語の音をローマ字表記にする方法にヘボン式があります。ヘボンが女優のオードリーヘップバーン(Hepburn: 1992-1993)と同じ綴りであるとは、直ぐには想像できないでしょう。
2010.2 橋梁&都市PROJECT

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