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1. 言語学が関与する環境

1.2 道具としての文字


1.2.7 実用文書の書き方に応用する研究が必要

 コンピュータを使い、学問として取り組む形態素解析は、文字並びをデータとします。形態素解析の応用目的の一つに、日本語から英語への機械翻訳があります。日常的に使われる言語(これを自然言語と言います)を研究対象にすると、或る程度の法則性を発見できるのですが、例外もまた多く出るため、解析の成功率が下がり、実用的な機械翻訳ができません。これを逆に考えます。形態素解析が成功するような文書の書き方は、どうあるべきかを提案する研究です。文学的に書かれた文章は、感情表現やレトリックがありますので、読み手はそれを楽しみます。機械翻訳は、このような文章データが苦手です。学術論文を海外に発表するときの道具として、機械翻訳が実用になると助かります。学術論文は、曖昧な表現を避け、論理的な整合性を持たせるように作文しますので、機械翻訳の対象とすることができます。機械翻訳が成功しない個所は、コンピュータが論理的に判断できない個所です。したがって、機械翻訳は、元の文章に何かの欠陥があることを指摘する校正ツールになります。一般の人を対象とした作文の実用書は、書店で普通に見られます。作文添削は、眼で見て人が判断しなければなりませんが、自分の書いた文書を自分で添削するのは限界があります。欧米の大学では、technical writingがほぼ必修の教養科目に位置づけられていて、学術論文などの書き方について、物理的な約束と文書の書き方の基本を教えています。効果的な添削は、別の人がするのがよいので、対面授業は意義があります。学術誌の投稿規程は、ごく基本的なことしか書いてありませんので、より実践的な実用文書作成を自分で心がけなければなりません。参考として下記のURLを参照して下さい。 「実用文書のまとめ方」http://www.nakanihon.co.jp/gijyutsu/Shimada/bunsyo/DocumentIndex.htm
2010.1 橋梁&都市PROJECT

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