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1. 言語学が関与する環境

1.1 言語学が生まれた経緯


1.1.7 複数の言語環境の場では公平な言語学が必要になる

 二つの言語環境に別々に属する人が接するとき、両方の言語に達者な人が居ないと、正確な相互理解に欠けが起こります。このとき、言葉の分類や分析が必要です。この作業を含めた全体が、言語学です。言語学者のソシュール(Ferdinand de Saussure,1857-1913)が多言語環境のスイス人であるのは、公平な立場で複数言語を研究する環境に居たことの関係があると思います。言語の翻訳作業では、紛れのない規則を決めておくと、正用誤用がはっきりします。これが言葉の定義です。そのための道具の一つは辞書です。辞書というと、和英・英和辞書のように、例えば、「犬-dog」と対応させる単純な対訳を想像します。しかし、これでは不正確なことが起こります。犬とはどういうものかを説明するのが定義です。定義を説明する形式の辞書には事典と当てます。普通の辞書は辞典を当てます。音が同じですので、話ことばの中では、ことてんとことばてんの言い換えをすることがあります。専門用語の説明辞書は事典の性格を持ちますので、英語ではdictionaryではなくglossaryの方を使います。
2010.1 橋梁&都市PROJECT

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