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14. アーチ橋の計算

14.4 水平反力影響線の計算式


14.4.5 両端固定梁を基本系に置く考え方もある

 実用されている中径間のアーチ橋において、固定アーチとして設計した例を筆者は知りません。しかし、橋梁工学の興味から、計算法についての提案をまとめます。その一つは、静定基本系から出発するのではなく、あらかじめ両端固定梁の解析を済ませておいて、水平反力の影響線を求める方法です。この両端固定状態は、支点位置で桁の回転は拘束されていますが、水平方向には可動としておいて、そこに水平反力を作用させる構造系を考えます。両端固定の直線梁として、曲げモーメントと撓みの影響線を求めておいて、水平反力分のと変形とを加算します。両端連続梁の計算は、あまり馴染みがありませんが、デザインデータブックなどには梁の計算公式が載っています。MSエクセルのような表計算ソフトが便利に利用できる時代になりましたので、数値計算の手間はずっと楽になりました。水平反力分の計算は、式(14.4)と式(14.5)の形が少し違います。曲げ変形による弾性エネルギーの計算式は、等分布荷重qと撓みの積である外部仕事の方から求めます。水平反力の影響線の形は、等分布荷重を受ける両端固定連続梁が等分布荷重を受けるときの撓み図と相似になります。
2010.10 橋梁&都市PROJECT

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