目次ページ,  前ページ,  次ページ

14. アーチ橋の計算

14.4 水平反力影響線の計算式


14.4.2 数値計算に使う原理式

 上の項で説明した水平変位δの計算は、弾性エネルギー法で求めます。アーチリブは、軸力と曲げモーメントを考えればよく、剪断剛性を考えるまでもありません。水平桁部に曲げ剛性を考える場合は、この部分もエネルギー計算に加えます。エネルギー法の原理式は、式(14.1)です。仕事を計算する式ですので、理論に合わせるように係数1/2を書きました。

 この式は、「外力のした仕事が、内部応力による部材の弾性エネルギーの総和と等しい」ことを表しています。右辺のは、部材ごとの軸力と曲げモーメントです。断面剛性EAと曲げ剛性EJは、平均化した換算の真っ直ぐ梁の定数(EAcosφ、EJcosφ=一定)で扱うのが簡明です。軸力は、です。曲げモーメント分布は、アーチリブの放物線形状(x)との積です。アーチリブのサグをとすれば、支間中央での最大曲げモーメントはHFです。式(14.1)は、ランガーやローゼ形式のアーチにも、そのまま応用します。ランガーやローゼ系のアーチは、鉛直材を介して水平桁部に等分布荷重を伝える重ね梁となりますので、曲げ剛性は、上下の桁部材の曲げ剛性の和を使います。軸力に関しては、上下の桁部材ごとに弾性エネルギーを計算して加算します。ランガー形式の場合には、水平桁部の断面積が大きいので、Nによる弾性エネルギーは無視できます。また、タイドアーチの場合には、タイ部分の断面積が相対的に小さいので、こちらは引張り軸力が効いてきます。
2010.10 橋梁&都市PROJECT

前ページ,  次ページ