橋梁工学では、通路を単位の移動荷重が通行するとして、あらかじめ応力及び変形の影響線を求め、それを元に最大最小応力度、最大最小撓みの計算をすることに特徴があります。移動荷重の位置を変えながら、その都度構造解析をするのではなく、応力の影響線を求める巧妙な方法があります。それは、求めたい応力の作用個所で仮に部材を切断しておいて、そこに、求めたい内部応力の対を外力として作用させ、その力方向だけに変位をさせるようにした、全体力学系の変形を計算する方法です。二ヒンジアーチの水平反力Hを不静定の外力扱いをするときの静定基本系 図14.8では、左側の支点を水平方向に移動できるように仮定して、ここにH=1を作用させて、アーチリブの垂直方向の変形を計算します。外力荷重が作用すると、支点位置が開きますので、それを押し戻し、水平変位を0にする力を計算すると、不静定水平反力Hが計算できます。Hの影響線は、相反作用の法則を応用して求めます。その法則は「P=1が作用するとき、可動支点の水平変位の大きさ」が、「可動支点にH=1が作用するときの、P=1の作用点での撓み」に等しいことを保証します。構造計算は、H=1が作用するときの水平変位δHを求めること、そして、そのときのアーチリブの撓み図w(x)を計算します。Hの影響線は、押し戻す意義のマイナス符号を付けて、−w(x)/δHで得られます。
2010.10 橋梁&都市PROJECT |