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13. 連続桁の計算(続)

13.2 連続梁の計算に使う力学モデル


13.2.5 トラス橋では床組全体が連続橋になっている

 単純トラス橋の部材応力を計算するときは、荷重の作用が格点に集まるような間接載荷の方法を使います(第4章参照)。トラス橋の床版と縦桁で構成する床組みは、格点位置の横桁を支点とするような連続橋構造に構成されています。計算上の仮定として、横桁上で単純桁橋とするか、連続桁橋とするかの選択があります。単純桁橋の仮定を使うと計算が簡単です。しかし、横桁上でヒンジの仮定を満たすように、スラブに目地を入れるなど、細部構造を工夫することはしないのが普通です。すなわち、実構造は連続桁橋の支点をトラスの横桁が支えている、一種の複合構造です。この実情は、実際のトラス橋で簡易振動測定をして、結果を説明するときに考える力学モデルとして妥当な仮定であることが、幾つかの測定をしてみて分かってきました。トラス橋の路面上で振動を測定するとき、測定位置をトラスの格点位置にする場合と、格点の中央にする場合とでは卓越振動の大きさの順位が変わります。格点の中央では、格点間を支間とする単純橋の振動が卓越し、トラス全体支間の振動レベルが低くなります。したがって、トラス全体系の振動を得たいときは、格点位置で主構にセンサを取り付けるようにします。ただし、弦材に取り付けると、弦材自体が独立に振動する現象を拾います。
2010.4 橋梁&都市PROJECT

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