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13. 連続桁の計算(続)

13.2 連続梁の計算に使う力学モデル


13.2.1 数表を利用した過去の計算方法を理解しておくこと

 コンピュータが利用できなかった1960年頃までは、不静定構造物の解析は、数値計算に多くの手間がかかりました。数表やグラフは、計算労力を最小にすることと、計算結果を検証するための資料として使います。丸善の三角関数表や、林桂一の高等関数表を手許に備えることは、技術者の素養の一つでした。連続梁の計算には、ドイツ版のAngerの数表が良く利用されました。ハンドブックやデータブック類は、各種の数表や公式集を集めたものです。数表は、単純化した条件で計算した値を集めますので、一般的な条件の数値を求めたいとき、その数表を応用する方法も理解しなければなりません。よく使うのは内挿計算です。例えば、10等分点での座標数値の数表から、7等分点の座標数値に直す、などがあります。したがって、数表を利用するには、数値を求めた理論的な背景についての理解が必要です。1960年代までは、数表を扱う出版物が多く見られました。1970年代に関数電卓が発売されて関数計算が簡単にできるようになり、さらにパソコンが使い易くなったことで、数表関係の出版物はほぼ壊滅してしまいました。ハンドブックから数表類が載らなくなると同時に、計算式の解説も意味を失い、結果的にハンドブックそのものを持つ意義が失われてしまいました。既設の古い橋梁の設計計算書は、数表やハンドブックを参考にしましたが、特殊な条件の場合を除き、影響線の計算をそのまま記録に残しません。したがって、現時点(2010)では、連続梁の影響線計算を詳しく勉強できる参考資料がありません。連続梁の再現設計のエクセルSoftは、影響線の計算部分は独立させた"INFCONTBV0.xls"として別にまとめ、その要点を連続梁の再現設計ソフトに転用する編集にしてあります。これは、従来の数表を利用する計算法のパソコン版と考えるとよいでしょう。
2010.4 橋梁&都市PROJECT

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