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12. 連続桁の計算

12.5 応力の影響線


12.5.7 相反作用の定理で影響線を求める

 線形の弾性体の力と変位との関係を表す一つの定理に相反作用の定理(reciprocal theorem)があります。マクスウェル‐ベッティの定理(Maxwell-Betti's reciprocal theorem)とも言います。二つの力(モーメントも含みます)P1,P2とその力の作用する方向で測った変位δ1、δ2とを考えます。今、P1=1が作用したときのP2の位置での変位δ1=δ12と、P2=1が作用したときのP1の位置での変位δ2=δ21とを求めるとδ12=δ21になることを言います。この定理は、「力のする仕事=弾性エネルギー」の関係を踏まえていますので、ディメンションに注意します。曲げモーメントを考える場所では、変位は回転角(ラジアン)です。ここで、図12.12の力学モデルを考えます。P=1の移動荷重が作用したとき、ヒンジの位置での回転変位θは、このヒンジ位置で単位のモーメントM=1を作用させたとき、P=1の作用点での変位yに等しくなります。支点位置で、yの値に相当する回転角を0に戻すように支点曲げモーメントを作用させると連続桁になります。つまり、図12.9の変形図に、前項で解説した(−θ1)を乗じた曲線が支点上の曲げモーメントの影響線です。影響線の形は図12.12の上下を逆に描いたようになります。連続桁の任意の位置での応力の影響線は、考えている単純支間部分の単位荷重による影響線と、その支間の左右支点での支点曲げモーメントの影響線を重ね合わせます。
2010.3 橋梁&都市PROJECT

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