目次ページ,  前ページ,  次ページ

12. 連続桁の計算

12.5 応力の影響線


12.5.2 曲げモーメントの理解が学習の一段階であること

 高校までに習う力学(mechanics)は、力の釣り合いを扱います。モーメントを力の種類としても扱う力学は専門教育からです。弾性体の変形を扱う力学は応用力学(applied mechanics)です。さらに、力が弾性体に作用して変形することを、力のする仕事とし、その仕事が弾性体内部に保存されるとする弾性体のエネルギーが理解できるようになるのは、もう一段階上の学習です。力がする仕事は、力×変位の単位(ディメンション)です。モーメントで生じる変形は、回転角で扱うことと、モーメントがする仕事がモーメント×回転角の単位です。三連モーメント式は、モーメントを力の一種として扱いますので、構造力学の初学者が原理を納得するまでに悩まされる問題になっています。撓み角とは、梁の傾斜が変化する変位ですが、そのままでは力学量としての意義はありません。その個所にモーメントが作用するような状態があるとき、モーメントと撓み角との関連を扱います。連続梁の解析のときは、支点上でヒンジ構造を仮定しておいて、そこに左右反対向きの曲げモーメントを作用させ、左右の桁の撓み角度の差を回転角とします。つまり、左右の桁の、ヒンジの位置での傾斜角度(撓み角)の差を計算します。連続梁の解析をするときの静定基本系は、径間単位で単純支持桁として、三連モーメント式を利用する方が数値計算をする場合に扱い易くなります。したがって、以下の計算式は三連モーメント式を応用する手順を解説します。
2010.3 橋梁&都市PROJECT

前ページ,  次ページ