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12. 連続桁の計算

12.5 応力の影響線


12.5.1 構造力学の課題としての連続梁の解析

 連続桁構造は、橋梁の場合だけでなく、工学的に広く応用される力学形式です。橋梁工学の参考書では解析の説明を省き、構造力学の参考書で理論式が主に扱われています。しかし、影響線を求める解析は橋梁工学固有ですので、その説明が十分でないのが普通です。連続梁は不静定構造です。その不静定次数は、上下方向の力に関して言うと、連続する径間数をNとして(N-1)です。未知数にする応力を、中間支点での上下方向反力成分とするか、梁の曲げモーメントにするかの選択は、解析の出発にする静定な構造系(静定基本系)の考え方に関係します。中間支点を外した両端単純支持の梁を静定基本系とすると、中間支点の反力を未知数(不静定力)とおいて、外力による中間支点の撓みを0に戻す弾性条件で未知数の反力を求めます。もう一つの仮定は、中間支点上で桁の接続がヒンジであるとし、各径間は個別に単純支持の桁になっているとする構造系です。未知数は、中間支点上の曲げモーメントとするのですが、これは左右の単純桁の接続桁端に向きが反対の端曲げモーメントの対を作用させます。ヒンジ位置で桁端の相対的な回転角度の差(撓み角の差)を計算します。外力によって桁端に生じる撓み角を打ち消す条件で支点位置での曲げモーメントを解析します。これを撓角法と言います。多径間の連続梁の解析では、隣接した二径間を取り出し、連続した3支点上での桁の曲げモーメントを未知数にして、中央の支点上での撓み角を0にする弾性方程式を立てます。これを三連モーメント式と言います。未知数とする支点上の曲げモーメントの数は、端支点上で曲げモーメントが0の条件がありますので(N-1)です。つまり、数学的には(N-1)次の連立方程式を解く問題になります。
2010.3 橋梁&都市PROJECT

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