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12. 連続桁の計算

12.4 架設工法の設計と計算


12.4.2 応力調性を考えること

 連続橋構造は、設計時の幾何学的な連続条件を満たすように連結しなければなりません。橋梁は見かけによらず、かなりの変位が出ます。閉合直前の左右桁断面の位置合わせは、仮の重量を作用させるなどで調整します。しかし温度の影響による相対的な変形にもかなり敏感ですので、全体橋梁の温度が一定になる夜を待って作業をする、などの注意が払われます。桁の添接個所は、作業時には曲げモーメントも剪断力も作用しない力学条件にしますが、作業後に重機や応力調整用の仮の重量などを除くと、全体の応力分布も変わります。閉合直後の死荷重応力をどのように考えるかによって、特別な施工をすることがあります。この全体を応力調整と言います。骨格としての連続桁構造になった後は、余分な足場などを除き、後から施工する自重(後死荷重)は、活荷重と同じように連続桁として応力計算をします。鋼とコンクリートの連続合成桁では、コンクリートの打ち込みは鋼主桁の架設が済んでからですが、打ち込み個所から曲げ剛性が増加した桁として振る舞います。コンクリートの打ち込み順序次第では、路面の縦断形状が設計通りにならないことが起こります。連続合成桁橋の場合、中間支点上のコンクリート床版は、桁として負の曲げモーメントを受けて引張応力度が出るのですが、これを抑えるための施工上の工夫が幾つか試みられてきました。完成した連続桁の死荷重応力がどのようになっているかは、実際にはよく分かりません。現実に架設されている連続桁を調査するときは、活荷重による桁の挙動を測定し、それを説明することができる資料を作製することが再現設計の目的です。
2010.3 橋梁&都市PROJECT

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