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12. 連続桁の計算

12.4 架設工法の設計と計算


12.4.1 死荷重応力は架設工法で決まること

図12.9 連続桁の閉合作業

 構造力学で連続梁の解析を扱うときの力学モデルは、重さのない、水平で真っ直ぐな梁を幾つかの支点で支え、自重も外力扱いをした荷重として作用させます。この理論仮定に合うように橋梁を架設するときは、橋全長を支える足場を作っておいて、桁構造が完成したところで足場を外します。外す前の足場には自重が作用していますので、安全に足場が外せるように前もって工夫をしておきます。この方式の架設は、主に、鉄筋コンクリート桁構造の場合に採用されます。鋼桁構造では、工場製作と輸送とを考えた長さ単位の主桁を現場で接合し、骨格としての連続桁にしておいて、床構造などを後から組み上げます。左右の側径間を単純桁として最初に架設しますが、このときは単純橋の架設工法が採られます。この単純桁を、中央径間側に、カンチレバー状に桁を繋いで伸ばします。中央径間の中央部で、左右から伸びた桁を剛に繋いで連続構造に完成させます。この最後の段階を閉合と言います。ゲルバー構造は、中央部の或る長さの桁を、剛結合ではなく、ヒンジで支持するようにしたものです。鋼の連続桁橋の場合は、閉合ブロックを落とし込む作業のとき、作業時の隙間を持たせるように一方の橋桁全体をセットバックさせます(図12.6)。長大橋では桁の重量が大きく、セットバック作業が実際には不可能ですので、ゲルバー形式を採用しなければなりません。新幹線の車窓から見える浜名大橋は、デビダーグ方式で架設されたPC橋です。連続桁に見えますが、中央径間の中央をヒンジ構造で連結したカンチレバー橋です。  
2010.3 橋梁&都市PROJECT

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