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12. 連続桁の計算

12.3 連続桁の構造上の課題


12.3.2 長手方向の伸縮変形に対応させることが問題

 主桁を連続構造にすることで問題になることの一つは、温度変化で橋全体が橋軸方向に伸縮することに対応させるような、支点部全体の構造です。架設段階でも、長手方向にセットバックさせる余裕が必要になります(図12.9参照)。長さの変化は、主に温度変化によって起こります。温度変化分は、温度の膨張係数として1.2×10-5/℃を採ります。標準温度に対して±30℃を見込むと、10m長さ当たり約7mmの遊間が必要です。たいした大きさではないと思うかも知れません。しかし、道路の鉄筋コンクリートスラブが夏の高温で目地の個所で座屈変形のように浮き上がる例が知られています。また、鉄道のレールが、真夏時の高温で横方向に蛇行するような座屈変形を起こすことがあるのも知られています。この変形を抑えるために、普通レールでは適度な隙間を設けますが、これが列車の走行では騒音の発生と振動の元凶です。そのため、継ぎ目を無くしたロングレールの施工が工夫されたのです。桁長が長い連続桁では全変位量が大きくなります。道路橋の伸縮目地は、構造設計だけでなく、完成後の維持管理でも多くの問題を抱えています。連続桁では、どれかの支点を固定支点として長手方向の水平地震力を取らせ、他の支点でローラー構造、またはロッキング構造を採用します。許容範囲を越えて大きな変位が出ないようにすることと、この方向と直角に動くズレ(浮き上がりと横ズレ)を拘束しなければなりませんので、全体構造が複雑になります。
2010.3 橋梁&都市PROJECT

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