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12. 連続桁の計算

12.1 ゲルバー形式の構造


12.1.2 日本での構造形式の呼び方であること

図12.1 標準的な三径間構成のゲルバー構造
 連続桁の計算を始める前に、外見では区別し難いゲルバー形式の説明から始めます。橋を外見で見て3径間の連続構造にすると、優美な変断面桁のデザインができることに加えて、単純橋よりも径間を伸ばすことができます(図12.1)。Firth of Forth鉄道橋(1890、英国)、Quebec橋(1917、カナダ)のように、長大橋と言えばトラス桁で構成したゲルバー構造でした。この形式を最初に発案したのは1867年、オーストリア人のH. Gerberです。日本は、ドイツの橋梁技術も学んだので、日本ではドイツ流にゲルバー橋と言いますが、英語の専門用語ではカンチレバー橋(cantilever)です。日本伝統の木橋として、山梨県の猿橋、富山県の愛本橋は、刎橋(はねばし)と言う構造ですが、原理的には両岸から張り出したカンチレバー形式です。標準的な三径間ゲルバー形式は、左右径間の単純桁部分を中央径間に張り出して、単純支間の桁を支えます。構造力学的には、静定構造です。長大支間を渡そうとすると死荷重応力が大きくなりますので、応力分布が一意に決まらないと合理的な部材断面の提案ができません。これが、長大橋にゲルバートラス形式が採用された一つの理由です。戦前には中程度の支間にゲルバートラス形式の橋梁が多く架けられました。しかし、下路トラスの形式は、幅員の拡張ができませんので、上路形式の桁橋に架け替えられる例が多くなりました。現在も(2010年)利用されているゲルバートラスの一つに、新潟県長岡市信濃川に架かる長生橋(1937)があります(図12.2)。何連ものゲルバー形式が連なって、見かけ上13径間の連続橋構造です。夏の花火大会の舞台になっていて、切手のデザイン(2001)に採用されています。
図12.2 長生橋、L=67.5+11@65+67.5、b=7、(撮影:鳥居邦夫)
 
2010.3 橋梁&都市PROJECT

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