目次ページ,  前ページ,  次ページ

11. 小径間吊橋の計算(続)

11.6 吊橋の力学的な性質


11.6.1 再現設計計算のエクセルSoft

 前章から続いたここまでの解説で、吊橋の力学的な性質を計算する主要な理論式を紹介しました。吊橋計算のエクセルSoftは、既設橋梁を調査するときに必要な性質を計算することを目的としてまとめました。具体的な数値計算の手順は、インターネット上で、デモプログラム"SUSP2S31V0N"を参照して下さい。この例題計算に使用したモデルは、図10.5に示した箱ヶ瀬橋です。ただし、部材断面などの詳細は、参考文献に載っているもの以外は推定値です。ソフト名の中にある数字の2は、幅員方向の縦桁本数です。縦桁本数を3本以上使う床構造を持つ吊橋は、"SUSP3S31Vkk"としました。吊橋は、構造力学的に興味の多い構造物です。吊橋と言うと長大吊橋に眼が行きますが、中小の吊橋は山間部に見ることが多いので、大学や専門学校の橋梁工学の教育モデルとして手ごろです。実橋梁を目視で観察するとき、再現設計を経験させると構造の詳細を理解するときに役立ちます。簡易振動測定をして動的な挙動を解析して理論と比較することは、卒業研究には手ごろなテーマになるでしょう。吊橋は不静定構造物ですので、影響線の数値計算の進めかたが、少し込みいります。計算書のページ数が増えないように、例題ソフトの作成に注意しました。教育利用を考えて、単純桁の計算と比較し、吊橋の力学的な性質にどのような特徴があるか、が分るように式の表現を工夫しました。
2010.2 橋梁&都市PROJECT

前ページ,  次ページ