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11. 小径間吊橋の計算(続)

11.5 撓み振動の計算


11.5.4 マトリックスを使う固有値解析の方法

 吊橋の垂直方向の変形解析に非線形の撓み理論を応用するときは、途中の計算を線形の弾性理論で解いておいて、不静定のケーブル水平反力増分Hを補正して結果を合わせる方法を使います。振動解析のとき、非対称の振動波形をする場合の振動解は、式(11.9)を使うことができます。対称な振動波形の場合には、Hは0ではありません。固有振動数を求める計算は、吊橋支間を等分割した静力学モデルを使い、撓みの影響線から求めた撓みのマトリックスを固有値解析に利用します。格点は、自重相当のマスを付与した質点系でモデル化します。エクセルSoftでは、階差式を応用していますので、振動解析に使う対称マトリックスが得られています。固有振動時には、振動状態のマスの質量mは、角加速度ωと振幅とからP=mω2yの慣性力が生じます。これを静的な荷重として撓みの計算をすると、変位がyとなる関係を使います。変位のマトリックスTを使うと、(m/G)ω2Ty=yの形になりますので、撓みのマトリックスの固有値解析をすることで、固有振動数と振動モード(波形)が得られます。高次のマトリックスの固有値解析は、MS-EXCELを使って計算することも、できない相談ではないのですが、Visual Basicでプログラミングしたツールを使う方が作業に便利です。この解析用のソフトは、別にまとめます。近似的に固有振動数を計算するときは、変形モードに離散的なフーリエ級数を仮定して固有値の第一近似値が計算できます。式(11.9)と計算値を比較すると、第一次の振動モード(n=1)以外は大きな差が無い結果が得られます。具体的には、デモ用のエクセルSoft "SUSP2S31V0N.xls"を参照して下さい。
2010.2 橋梁&都市PROJECT

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