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11. 小径間吊橋の計算(続)

11.5 撓み振動の計算


11.5.2 構造システムをマクロに選ぶこと

 はじめに、振動解析の一般論を述べておきます。橋梁構造物は、種々の構成部材要素の集合ですので、全体構造の中にあっても、独立して扱う部材が多くあります。構造システム(組織)と言うときは、力と変形とが互いに関連を持つ部材要素の集合を意味します。或る場所の部材が、そこに局部的な作用する荷重のときだけに応力が出ても、他の個所に荷重が移動すると全く無関係になる構成もあります。全体構造システムの例としては、ゲルバー構造があります。トラス構造では、座屈長など、計算上の弦材長単位を短くする目的の部材があり、斜材や垂直材の構成に見ることができます。床組は、主構造とは独立させたシステムとして応力計算をします。これらは、独立に扱う部材であっても、全体システムとしての変位に関係を持ちます。振動現象に注目するときは、狭い範囲で考えた局部的な振動と、全体振動とがあります。振動解析をするときの動力学モデルは、部材の質量を離散的に扱う集中質点(lumped mass)に集約しておいて、質点の個所での慣性力と変位を扱います。このモデル化のとき、個別の部材の独立した振動を考えないようにするマクロの見方が必要です。
2010.2 橋梁&都市PROJECT

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