目次ページ,  前ページ,  次ページ

10. 小径間吊橋の計算

10.1 小径間吊橋の解説


10.1.3 補剛トラスの座屈変形が頻発したこと

 前項の図10.4に示した道路吊橋は、歩道専用吊橋の構想をそのまま引き継いだ補剛トラスを採用しています。放物線ケーブルは、横桁を吊り、その上にトラスを組み上げます。トラス自体は上横構の無いポニートラスです。この形式の吊橋は、上弦材が横方向に蛇行するような座屈変形が頻発しました。筆者が調査したのは1969年ですが、橋の上で重量車が対向できない渋滞が起きて、どちらも譲らない活荷重満載状態になったときに、大きな音を立てて上弦材が変形したそうです。上弦材の補修後、橋の入り口に荷重制限の標識が付きましたが、その後の交通マナーが格段に向上したそうです。このような経験を反映し、中小規模の吊橋は、トラスの上弦材を吊り、上路形式にすることが標準になりました(図10.5)。
図10.5 箱ヶ瀬橋、(九頭竜ダム湖)。瀬戸大橋のテストケースにした吊橋

2010.1 橋梁&都市PROJECT

前ページ,  次ページ