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9. PC桁橋計算エクセルSoftの解説

9.3 全体構造系の仮定


9.3.1 有効幅を考えない

 RC桁、PC桁を並列したコンクリート系の道路橋は、活荷重に対しては、全体断面を均した弾性版にモデル化しておいて解析し、個別の桁の守備範囲に当たる幅の版について曲げモーメントと剪断力を求めます。鋼桁橋の場合と同じように、捩れ剛性を考えない格子計算をすることもあります。桁断面の上部は、幅員方向に連続する床スラブを兼ねますので、主桁構成にT桁の断面形も提案されます。施工時の仮定として、T断面の張り出し部分の有効幅を考えることがあります。並列PC桁橋の場合、床版部分を後打ちのコンクリートで構成しますので、弾性係数の異なるコンクリート断面との合成桁構造になります。これを通称でPCコンポ橋と言います。コンポとは、合成を意味する英語のcompositeの省略カタカナ語です。合成桁としての計算は、施工時の手順と関連し、死荷重応力を見積もるときに必要です。しかし、活荷重による応力と変形を計算するときは、死荷重を考える場合のような施工手順を考える必要がありませんので、全断面を有効と仮定することができます。PC桁橋の再現設計の場合には、施工手順の計算を省きます。PC鋼材の断面積、断面内の配置、緊張力などは、施工時の設計書が残っていれば、それを死荷重応力の計算に使うことができます。しかし、プレストレスは内部応力ですので、供用後の緊張力がその後変化した実態は推定するしかありません。
2009.12 橋梁&都市PROJECT

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