目次ページ,  前ページ,  次ページ

9. PC桁橋計算エクセルSoftの解説

9.1 PC桁の製作環境


9.1.3 応力調整の主役はジャッキであること

 単純橋以外の構造形式は、不静定構造物です。架設時には、大なり小なり、ジャッキが使われます。ジャッキは、自動車のタイヤ交換などに使う簡単なメカニズムを始めとして、種々の製品が応用されていますが、原理的には或る間隔を広げるように圧縮力を作用させる装置です。PC構造物では、PC鋼材に引張力を導入するために、反力の圧縮力をコンクリート側で受ける特殊なジャッキを使うことが特徴であって、その代表がフレシネ法(Freyssinet)で使うジャッキです。現在では殆どみる機会がありませんが、初期のジャッキは、油圧ではなく、水圧を使う方式でした。奇異に感じられますが、ポンプ構造は水を対象とすることが出発ですし、蒸気機関車(SL)に見るように、かなり大きな力を発生させる装置として使用されてきた歴史があります。PC鋼材を引っ張るジャッキだけでなく、その力をコンクリートに固定する装置も力学的に検討する必要があり、多くの技術開発が行われてきました。橋梁に使うPC桁は、長さも重量も大きくなります。プレキャストPC部材のように工場で製作する単位にして輸送する製品ではなく、架設現場に隣接した、臨時の工場設備で製作されます。死荷重による曲げモーメントを打ち消す方向にプレストレスを加えます。架設の段取りとのからみで、死荷重モーメントの増加に合わせて何回かに分けて後からプレストレスを加えることもします。架設時の桁移動の際に、支持方法を間違えると桁が簡単に折れる危険があります。これらは架設時の設計で検討されますが、既設橋梁の再現設計では、これらの計算を省きます。
2009.12 橋梁&都市PROJECT

前ページ,  次ページ