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8. RC・PCスラブ橋の計算

8.3 弾性床上の梁の解析


8.3.2 橋梁工学の視点で解をまとめる

図8.5: 弾性床で支えられた梁
 式(8.4)は、版の解析を進めるときの一段階として導かれた梁の力学モデルです。橋梁計算に使う場合には、主桁間隔を2λとし、主桁n本分の幅をスラブ幅とします。構成する個別の主桁が弾性床の作用をします。幅員方向に分布する荷重の何%を受け持つかを求めるため、弾性床上で支持された横梁の撓み図を求めます。構成する主桁の位置を注目点とし、単位集中荷重が幅員方向に移動するとして、注目点の撓みの影響線を求めれば、これがその桁の荷重分担の影響線とほぼ相似です。ギヨン・マソネ法は、幅方向の8等分点を注目点とし、荷重もその個所に作用させるとして計算します。主桁の数が等間隔の4本であるときは、主桁位置での影響値が奇数番の注目点を使うことができます(図8.5)。そうでないときは主桁位置での影響値は、近似的に内挿法で求めます。格子桁の場合には主桁位置での分配係数を計算しますが、版にモデル化するときは、版全体の平均撓みが1になるように撓みの影響値を標準化します。これは、幅員全体に等分布荷重が作用するときの撓みを1とする約束です。そうするためには、集中荷重をP=nλとし、式(8.5)で示したρを撓みwに乗じます。或る主桁に注目して集中荷重に対する分配係数の形に考えたいときは、その主桁の勢力圏に相当する幅2λの影響線面積と全幅の影響線面積の比で求めます。式(8.4)を、標準化して撓みの平均値を1とするときは、曲げ剛性Byを単位化し、それに合わせて他の定数も扱い易くした梁モデルにします。梁の曲げモーメントと剪断力は、式の誘導や展開のときに使われるだけですので、例えば、式(8.3)に示す曲げモーメントmyの計算ではBy=1に理想化したモデルを使います。
2009.11 橋梁&都市PROJECT

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