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8. RC・PCスラブ橋の計算

8.2 直交異方性版の解析モデル


8.2.4 単純版の解析が基本であること

  式(8.1)を解く場合に考える条件が三つあります。材料力学的な仮定を、@弾性条件と言います。これには力の釣合条件を含みます。全体の幾何学的形状と支持条件とを合わせて、A境界条件と言います。全体形状に円形やひし形なども見られますが、通常は矩形を扱います。鉄筋コンクリートスラブは、主桁または縦桁間隔で、単支持・連続・片持ち梁の区別をしますが、自動車の進行方向には無限に連続した幅を仮定します。橋全体をスラブでモデル化するときは、支間方向(x方向)を単純支持、幅方向(y方向)は左右で自由縁を仮定します。スラブ上に載せる荷重の大きさとその分布形状を吟味する方は、B荷重条件と言います。この扱いを影響面の形で求めることが、スラブ橋解析の主題です。橋梁に載せる活荷重を理論的に扱いたいとき、マクロに考えて点状の狭い範囲に作用する集中荷重を考えたいところです。しかし、柱や梁を扱う場合の理論モデルとしての代数学的な集中荷重とは異なって、版の解析には使うことができません。現実的には、平面的な広がりを持たせた分布荷重を載せます。床版は自動車のタイヤ荷重を直接受けますので、示方書のT荷重が規定する自動車のタイヤ荷重は、タイヤの空気圧で決まる支圧応力度で路面に分布させるとして接地長と接地幅を決めています。もしジャッキなどを介して重量車を支え、狭い範囲に大きな荷重が作用すると、実構造では押し抜き剪断破壊を起こします。舗装は、タイヤの接地面積を広げ、支圧応力度が局部的に大きくならないようにする重要な働きを持たせています。
2009.11 橋梁&都市PROJECT

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