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8. RC・PCスラブ橋の計算

8.2 直交異方性版の解析モデル


8.2.3 回転の慣性モーメントの計算も必要になる

 梁の曲げ変形と応力度を計算するとき、断面に直交する垂直・水平二軸回りの断面二次モーメントが必要です。荷重は、普通、垂直方向だけを考えますので、断面の重心を通る水平軸回りの断面二次モーメントを使います。合成断面の場合には、材料のヤング率違いを重みとして計算します。橋梁の部材断面は、複数の材料を合成して構成することが多いので、実用的な計算には、或る材料の弾性係数を基準とし、他の材料はヤング率の比を重みにして加算する方法が便利です。鉄筋コンクリートの場合、鉄筋断面積をコンクリート断面に換算するときのn=Es/Ecがそうです。PC橋でも、後から追加する弾性係数の異なるコンクリート断面があり、PC鋼材のヤング率も普通鉄筋と少し違います。生のヤング率や剪断剛性係数を使う代わりに、nのような無次元化した数で扱う方が、計算書が判り易くなります。捩れ振動を計算するときは、図形の重心を回転軸とした質量慣性モーメントが必要です。同じ材料の部材であれば、垂直・水平二軸回りの断面二次モーメントの和に密度を掛けます。ただし、橋梁断面のように異なる材料が組み合わさった断面では、材料の比重を重みとして計算します。捩れ剛性は、捩れの復元力の方で必要です。捩れ変形を扱うときの二次モーメント(前々項のK)は、回転の方の質量慣性モーメントとは別に計算します。その理由は、剪断応力度の分布が断面の重心からの距離に比例しないからです。
2009.11 橋梁&都市PROJECT

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