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7. 鋼鈑桁橋計算エクセルSoftの解説

7.3 計算書の書式と体裁


7.3.3 EXCELを使う場合の繰り返し計算

 数値計算のプログラミングツールとして見るとき、EXCELは、原則として、条件判定を組み込んだ自動的な繰り返し処理ができません。Fortranでのdo-continue文、Basicのfor-next文に当たる処理ができません。EXCELの計算は、シート単位で先頭行から順に下向きに計算をする、いわゆる構造化プログラミングになっていますので、処理方法の選択と変更をするgo to文相当の処理がありません。初期値(デフォルト値)を仮定し、後の計算、または別シートで変更が必要となった場合、計算再開処理を前に戻ってやり直し、条件が満足されるまでの試行の繰り返しで対応します。しかし、考えてみれば、これは合理的な機能です。設計計算の場合、主桁断面を仮定し、応力計算をして許容応力度と比較してところで断面の過不足が分りますので、そこで、遡って、断面を決定するか変更するかをユーザが判断します。これを自動的に変更するように設定すると、EXCELのシステムは循環参照のエラーを起こします。自重の計算をするとき、鋼重に仮定値を代入しておくこともそうです。断面設計の場合には、入手できる材料に標準的なカタログ寸法がありますし、加工寸法も切りのよい単位に揃えます。数学的に決まる条件は参考にしても、それを直接使って断面の提案をしません。したがって、新規に設計をするときには、許容値を越えないように手作業を加えます。つまり、一般論として、設計計算にコンピュータを使うにしても、完全な自動化をしません。
2009.10 橋梁&都市PROJECT

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