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7. 鋼鈑桁橋計算エクセルSoftの解説

7.3 計算書の書式と体裁


7.3.1 EXCELを使うことの利点

 マイクロソフト社のMS-EXCELは、事務処理計算とそれを体裁のよい印刷で得ることを目的とした表計算ソフト(spread sheet program)です。豊富な組み込み関数が利用できるようになって、科学技術計算の利用が増えました。一般的な科学技術計算のプログラミング言語はFortranが主流であって、次善にBasic系が使い易さの面で一般化していました。これらは、数値計算には強力なツールですが、形式と体裁を整えたレポートを作成することには不便を強いられました。文書としての形式を制御する命令文は入出力文と一緒に使うformat文で指定するのですが、これを使いこなすには、かなりの勉強と経験が必要です。コンピュータで作成した生のリストは、膨大なページ出力を誇示する目的には使えますが、レポートとして体裁を整え、実用的な意義が評価できる資料として保存することは多くありません。EXCELを使う場合には、手計算の手順をレポート文書として編集したものが、そのまま計算に使うことができます。印刷体裁はGUIの環境で設計できます。また、計算式の説明などのコメントを残すことができます(図7.4)。複雑な計算は、印刷領域を外した部分でまとめて本文に引用する方法が使えますので、レポート本体の印刷ページ数の肥大化を抑え、かつ説明不足によるブラックボックス化を避けることができます。FortranやBasicでは、プログラミング文書と成果文書ファイルとが別資料になりますので、ブラックボックス化を起こし易いのです。商業的なソフトは、プログラミング文書を意図的に機密化する販売戦略を取ります。しかし、橋梁の設計計算書は、公開を前提とした公文書の性格がありますので、機密化を避けるのが本筋です。

図7.4 EXCEL作業画面のレイアウト(図1.1を再掲)。込み入った計算を右にまとめます。
2009.10 橋梁&都市PROJECT

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