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7. 鋼鈑桁橋計算エクセルSoftの解説

7.2 構造解析のモデル


7.2.3 断面決定法は計算書に載せない計算であること

 公文書として残す計算書は、採用された部材断面の決定に至るまの試行錯誤の途中経過を残しません。しかし、設計実務では、この部分が設計者の経験に大きく依存する個所です。前々章、第5章で、通常の非合成桁と合成桁の断面計算法を紹介しました。エクセルSoftでは、この計算部分を印刷範囲の外で行うようにし、その計算結果を断面計算の個所に、同じく印刷範囲の外にメモ的に示してあります。応力度の計算結果も、同じ場所に参考として転載してあります。このようにしておくと、所要断面の寸法を変更したときの結果が作業画面で直ぐに分ります。後の節で解説しますが、静定構造物の場合は、応力度の過不足を調整するときには、対象としている部材だけの寸法を変えるだけで対応できます。しかし、不静定構造物では、一つの部材の剛性が変わる場合であっても、その影響が全体構造系の性質に影響して、他の部材の応力も変わります。理論にこだわると、計算値に合わせるように部材寸法を変化させたくなりますが、そうすると、全く違った構造系を提案することになることがあります。格子桁の計算の場合、一般に耳主桁に応力が偏る傾向があります。応力に合わせるように調整するには、相対的に中間の主桁の断面を小さくします。これを繰り返していくと、最後は二主桁橋の提案になってしまうのです。
2009.10 橋梁&都市PROJECT

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