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7. 鋼鈑桁橋計算エクセルSoftの解説

7.2 構造解析のモデル


7.2.1 計算モデルは理想化して行うこと

 プレートガーダー形式は、トラス橋に較べると、路面状況に合わせた形状・寸法の選択自由度が大きく、架設現場の状況に合わせる製作が多く見られます。多少の斜橋は普通に見られます。勾配に合わせるようにウエブを平行四辺形にすることも行われます。程度問題ですが、計算モデルは標準的な直橋を仮定します。交通量の増加によって、片側だけに歩道を設けた、幅員構成が非対称になった橋も見られます。再現設計の場合には、設計時の条件に合わせた計算と平行して、実情に沿う条件を考えた力学モデルを仮定した計算も要望されます。学問的に凝ると複雑な力学モデルを考えたくなりますが、マクロにみて、なるべく単純化したモデルで扱うようにします。トラス橋のパネル間を結ぶ縦桁は、コンクリート床版を連続させるとしても、考え方は小支間(10m前後)のプレートガーダーになっています。この計算法は、最も簡易化した力学モデルを採用しています。その仮定は、幅員方向の荷重の載せ方を(1,0)分配と仮定した非合成構造です。支間にして20〜40mの中程度の長さを渡す道路橋の場合にも、戦後しばらくの間はこの仮定を採用していました。しかし、これは、かなりの過剰設計になっていることが、載荷実験をすることで知られていました。なるべく実情に合わせる設計方法の研究は、戦後、ドイツの橋梁技術から大きな刺激を受けました。適用支間を伸ばすための方法は、箱桁構造と連続桁形式の採用が代表的です。しかし、最も多く採用される形式は、複数の主桁を並列に使う単純桁橋です。設計法の合理化の問題は、代表的には二つです。一つは、橋面を二次元的に扱う格子桁または直交異方性版と考える設計法、二つ目が合成桁としての設計法です。
2009.10 橋梁&都市PROJECT

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