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7. 鋼鈑桁橋計算エクセルSoftの解説

7.1 構造の理解


7.1.6 下横構は主桁並みの応力を受けること

 溶接構造でプレートガーダーを製作することが普通になったことで、下横構の下フランジへの取り付け方法について、力の伝達に問題がある構造が多くなりました。引張応力を受ける主桁の下フランジに直接取り付かないように、ウエブの或る高さにヒレ上状のガセットプレートを溶接して、そこに接続させる構造が多く見られるのがそうです。この構造は、立体骨組として見ると、力の伝達に幾らが不合理なところがあります。下フランジは、トラス構造で言えば引張応力を受ける下弦材に当たるのですが、この下弦材を水平方向に拘束する効果が小さくなり、いわばブラブラの状態になることがあります。この影響は、特に2主桁橋では、低周波振動公害として観察されることがあります。プレートガーダーのウエブ側面は、かなり大きな表面積を持ちます。これが巨大なハイファイスピーカーのように振動すると、耳には聞こえない低周波ですが、その音声出力は非常に大きくなるからです。また、案外なことに、横構の取り付けのリベットやボルトの損傷も見られることがあります。計算上、水平荷重による応力度が小さいので、下横構を二次部材と考え易いのですが、立体構造と考えると、下フランジ面と共同して、主構造の下弦材としての引張応力を受けることが分ってきました。逆に、高欄は、主桁構造の圧縮材の性質を持ち、圧縮応力を受けていることも測定されています。下横構を省く2主桁橋の断面形は材料力学では溝形鋼のような開断面であって、閉じた箱形状にくらべて捩れ剛性が非常に小さくなります。話は少し飛びますが、吊橋の補剛桁に採用されると、耐風安定性が大きく損なわれることが知られています。米国の金門橋(ゴールデンゲート)は、建設当時、補剛トラス下弦側の断面構成は開断面だったのですが、その後、下横構の追加工事で補強されました。
2009.10 橋梁&都市PROJECT

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