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7. 鋼鈑桁橋計算エクセルSoftの解説

7.1 構造の理解


7.1.5 構造としての注目点が幾つかあること

図7.3 コンクリート打ち込み時、合成桁上フランジ座屈防止に使う仮の横構
 古いプレートガーダー道路橋は、鉄道橋の技術を応用したリベット構造が採用されていました。鉄道橋は、鉄筋コンクリートのスラブを使いませんので、鋼桁単独は、かなり立体的に頑丈な2主桁構造に製作されます。道路橋は、鉄筋コンクリート床版が上横構(ラテラル)の役目を兼ねますので、下横構だけをトラス状に組み、一定間隔に入れる対傾構、または横桁で主桁の横変形を拘束します。経済的な設計を意図すると、真っ先に横構と中間対傾構を簡易化または部分的に省く傾向が見られ、これが、問題を起こすことがあります。特に、2主桁構造で問題が頻発します。コンクリートスラブを打設する前の合成桁では、鋼桁単独は、全体を立体トラスモデルとして見ると、内的に不安定な構造になっていることがあります。合成桁では、生コンクリートの打設時に鋼の上フランジの圧縮応力が最大に近い大きさになるのですが、コンクリートに未だ剛性がありませんので、主桁の上フランジが、部分的または全体として横方向に座屈変形を起こした例が知られています。また、上下の横構と対傾構を含めた全体橋梁が箱断面になることで橋としての捩れ剛性が発現するのですが、コンクリート打設段階ではそうなっていませんので、簡単に捩れて落橋事故になった例も知られています。上下の横構と中間対傾構を、二次部材であると軽く考えると間違えます。合成桁橋のコンクリート床版を打ち込むときに、上フランジの座屈防止のため仮の横構を用いて、上フランジの座屈長を短くすることがあります。
2009.10 橋梁&都市PROJECT

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