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7. 鋼鈑桁橋計算エクセルSoftの解説

7.1 構造の理解


7.1.4 対象橋梁の観測が欠かせないこと

 調査の対象となる実橋梁の現況を知ることは重要です。現場での観察は、建設当時の技術水準の動向、その結果が現在どのようになっているか、を読み取ることができる場合があります。特に、改修や補修の履歴があるとき、また、損傷が観察される場合は、設計方法の反省資料になります。従来、この種の資料を客観的に蓄積する方法が確立されていませんでしたので、言わば、口コミ的な技術移転の知識として伝えられてきました。重要な橋梁の管理にはモニタリングの手法が幾つか提案されています。しかし、数の多い並みの橋梁に応用する経済的な方法ではありません。一般的な橋梁は、写真撮影などを含め、目視の観察、主要な寸法測定などで場当たり的に済ますことが多くなりました。病人を診断するとき、顔色を見る、などの外見だけの観察で内臓疾患が分るはずもありません。実情に合った再現計算を確認するには、実物に触る、例えば、対象橋梁の載荷試験をして突き合わせることができると最善です。しかし、費用も嵩みますので、筆者らは簡易振動測定を併用しています。実測振動数と理論的振動数とを付き合わせるため、全橋の自重と曲げ剛性の計算を再現設計計算の必須事項に含ませています。
2009.10 橋梁&都市PROJECT

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