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6. 格子桁の分配係数の計算法

6.2 格子桁の解析モデルと設計モデル


6.2.5  格子計算を利用するため荷重体系も工夫したこと

 格子桁理論を実際設計で効果的に応用できる場面は、(1)広い歩道が両側にあるような幅員の広い場合、(2)現在では見なくなりましたが、道路中央に重量の大きな市街電車を通す場合です。広い幅員の道路幅全体に満載する活荷重では分配効果が有効に働きません。幅員が広くない場合は、幅員の両側の主桁(耳桁)の剛性を中間主桁のそれよりもやや大きくすることで、幅員方向で負の反力の出る領域を減らすことができます。都市部の高架橋では、剛な防音壁を幅員端に増設することが多くなりましたが、これが、耳桁部の曲げ剛性を結果的に高める効果になっています。ただし、実際にこの効果を考えた設計と、現地でその確認する測定は殆ど行われていません。道路の管理者側の対応として、大型車を、なるべく道路中央を通すように指導した例があります。昭和31年の設計示方書から、交通事情を考えて活荷重の体系に確率的な考え方が取り入れられました。それは、2車線幅(5.5m)以上広い幅員の道路橋では、その幅で最も不利ななる位置に満載し、残りの幅員幅に活荷重が満載する確率が小さい(50%)とする仮想的な荷重です。これは、格子理論を応用するときに、特に有利になるとは限りません。 
2009.9 橋梁&都市PROJECT

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