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6. 格子桁の分配係数の計算法

6.2 格子桁の解析モデルと設計モデル


6.2.4 偏心載荷では不利になることがあること

図6.2 引張応力が出ない載荷
 二主桁橋は、幅員方向に(1,0)荷重分配を考えるのが普通です。大きな活荷重は、なるべく幅員の中央に載せると、左右の主桁が均等に(1/2,1/2分配)負担します。外側主桁幅よりもさらに外に荷重が載れば、テコ作用で1よりも大きな力が作用し、反対側がは負の荷重になり、捩れや転倒の安全にも問題が出ます。したがって、左右の主桁間隔をやや狭く抑え、床組の重量が増えないようにします。三主桁以上を使う場合には、外側主桁上に荷重が載る場合であっても、反対側の主桁に負の荷重が作用します。この性質は矩形断面の柱に偏心して圧縮力が作用する場合の応力分布の性質と同じ現象です。柱の場合、断面幅の中央1/3の部分を核と言い、この範囲に軸力が作用すれば、断面に引張応力が出ません。この核は、道路橋の場合、幅員の中央1/3幅の狭い区間に相当しますので、そこから外れて作用する荷重は、反対側に負の荷重として作用します。外側主桁の幅員方向の分配を影響線として求めておいて、負の分配を受ける範囲だけに活荷重を載せると、単純な(1,0)分配で仮定した場合よりも大きな設計応力になることが起こります。当初、格子桁理論を使って設計すれば、「経済的な設計ができる」と思い込んでいたドイツ技術を信奉する研究者にとって、このことは意外な結果でした。つまり、理論に欠陥があるのではなく、設計に応用するときの構造構成に工夫が必要であったのです。
2009.9 橋梁&都市PROJECT

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