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6. 格子桁の分配係数の計算法

6.1 幅の広い道路橋


6.1.2 幅員の広い桁橋形式の設計に用いること

 広い幅員の道路橋を一般的なプレートガーダー形式で架ける設計は、複数の主桁を並列に並べます。鉄筋コンクリート床版は、主桁間隔を支間とした一方向版として設計します。重量が嵩みますので、スラブ厚が大きくならない範囲に抑えると、主桁間隔は2m前後になります。したがって、桁橋は少なくとも3本の主桁を並列に使います。トラス橋は一種の二主桁橋であって、車道幅員全体を二主桁幅の内側に入れます。上路形式の桁橋は、左右の主桁位置から幾らか外側にスラブを張り出して、左右端の主桁間隔を内側に寄せます。こうすると、橋台・橋脚の幅も狭く建設できます。スラブを広く張り出すと、道路片側に寄った自動車の輪荷重は、スラブの負の曲げモーメントを大きくすることと、テコ作用で端の主桁に大きな荷重に増幅します。また、捩れの影響も心配です。これらのこと全体を横分配という疑念で扱います。最も単純な仮定が(1,0)分配です。スラブは主桁間で単純支持されている仮定ですので、複数の主桁が並んでいても、互いに独立に荷重を受けるとする仮定です。ただし、幅員端の主桁は、単純支間のスラブが外側にも張り出すと仮定して、テコの作用を考えます。単純な設計法では、幅員の外側と内側とで、設計モーメントが結果的にほぼ等しくなるように橋断面の寸法と配置にします。スラブの剛性が十分に大きく、主桁間を連続して繋ぐ効果があれば、複数の主桁が協力して荷重を支えることが期待できます。この効果を反映するようにすることが、格子桁計算の目的です。
2009.9 橋梁&都市PROJECT

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