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5. プレートガーダーの構造

5.5 合成桁断面の応力度計算法


5.5.3 理論式通りの計算をしなくてよいこと

 合成桁の力学的性質を理解するために、力学モデルを仮定し、それから導いた数式があったとしても、その数式を設計にそのまま利用するのではなく、実践的な知恵として、扱いやすい形に直します。理論に忠実であろうとする人には気にいらないようですが、例えば、三角関数・対数関数などは、単純な一次式ないし三次式までの近似式を利用し、少し複雑であれば、分数式で表すように消化して使います。平方根の計算は、1/2乗する指数関数ですが、利用頻度が高いので簡単な電卓でも使える普通関数になりました。しかし、手計算の時代は、平方に開く計算技術を覚えておく必要がありました。コンクリートの示方書は、学術研究を反映せて、指数関数や対数関数を使った説明が多くなりましたので、理論式を理解することが難しくなってしまいました。合成桁の鉄筋コンクリート床版部分は、鉄筋の断面積や配置のことを捨象して、全体をヤング係数比n=7(標準の場合)の均質なコンクリート断面として計算します。クリープの影響を考えて乾燥収縮応力や死荷重応力を計算するとき、n’=2n、n”=3nに直して応力計算に使います。また、合成断面全体について断面係数を計算して応力度を求めるのが実践的であって、理論式に合わせるように、鋼桁とコンクリート桁個別に作用する軸力Nと曲げモーメントMを求めて、σ=(N/A)+(M/Z)の形にはまとめません。数値計算例を下に示します。これは、EXCELの表計算機能を利用して、定型的なレポート形式でまとめました。
2009.8 橋梁&都市PROJECT

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