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5. プレートガーダーの構造

5.2 細部設計上の課題


5.2.4剪断応力度と剪断歪みは理解し難い力学量である

 初学者が構造力学を勉強して構造物の設計法を理解しようとするとき、軸力・曲げモーメントは、感覚的に納得できますが、剪断力・剪断応力度・剪断歪みとなると混乱が起こります。柱や梁の応力と変形を扱うときの仮定は、最初に平面であった断面が、変形後も平面を保つ「平面保持」と、「応力度は歪みに比例する」の二つを使います。剪断応力度を考えると、平面保持の仮定は成り立ちません(図5.4)。平面からのズレのことをソリ(反り)と言い、この大きさは剪断力に比例します。梁の長手方向に剪断力が一定であると、ソリは長手方向に一定になりますので、いわば紙のソーサー(お皿)を重ねたようになっています。しかし、横桁が取り付いている個所のように、剪断力が変化する個所の前後では、左右のソリが合いませんので、その相対的は差に相当する軸方向の歪みが発生します。そして、この歪みに比例した軸応力度が発生します(図5.5)。しかし、この応力度は全体として局部的に釣合っていますので、剪断応力度が変化する個所から離れれば無視できます。これをサンブナンの法則と言います。したがって、この局部応力度は、許容応力度を決めた安全率の範囲で消化できるとします。実践的な設計法では、剪断力が大きくなる個所の断面計算を有効幅の提案の形にして扱い易くしたものです。
2009.8 橋梁&都市PROJECT

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