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5. プレートガーダーの構造

5.2 細部設計上の課題


5.2.2 プレートガーダーの腹板は周囲を補強した板とする

 単純橋に使うプレートガーダー単独は、支間に対して適度な桁高(ウエブ高さ寸法)が必要です。これは撓みの制限と関連を持ちます。経験的には、支間の1/15前後です。鉄道橋の方が道路橋よりも撓みの制限が厳しいので、相対的に桁高を高く取ります。ウエブは、桁高を確保する部材であって、主に剪断応力の伝達機能を持ちます。ウエブは、曲げ部材としては能率が悪い部材ですので、鋼重を減らすためになるべく薄い板を使います。板単独は頼りないので、部材に組み上げるときは、フランジを含め、周辺を剛な部材で囲います。部分的には、座屈を抑える目的から、適度に補剛材を使います。ウエブで特に重要な部材は端の垂直補剛材であって、桁端での腹板の剪断力を支点に伝える柱の役目を持ちます。JISに規格化されたI形鋼やH形鋼を使う場合など、桁高が大きくなくて、中間に垂直補剛材を使うまでもない場合であっても、端の垂直補剛材を省くことはしません。板厚に較べて相対的に高さが高いウエブは、座屈変形を抑えるために補剛材で補強します。垂直補剛材の主な目的は、腹板の剪断座屈の補強です。トラスモデルとして見れば垂直材の性格もありますので、垂直補剛材の間隔は、トラスモデルのパネル間隔に相当し、桁高よりも広くしません。ウエブを波型に加工することは、垂直補剛材を省いて平面的な板の剪断座屈を防ぐためのアイディアです。高さの高いウエブは、水平補剛材も入れます。この部材は、上フランジ寄りの圧縮側にあるウエブの座屈変形を抑えることが目的です。桁の長手方向には垂直補剛材の個所で連続性が途切れますので、主断面の有効断面には含めません。
2009.8 橋梁&都市PROJECT

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