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5. プレートガーダーの構造

5.2 細部設計上の課題


5.2.1 薄板を組み合わせるときの種々のアイディアがあること

 プレートガーダーの設計は、薄板(と言っても8mm厚以上)を組み立てて立体構造に構成するため、種々の工夫があります。山形鋼や溝型鋼を使う場合であっても、考え方は薄板扱いです。薄板単体は頼りない部材ですので、縦横に組み合わせて相互に補強し合うように構成します。組み立て単位の矩形断面の板は、板厚に較べてあまり板幅が広くならならない寸法にします。山形鋼の幅、溝形鋼の歯の部分、I形鋼、H形鋼のフランジ部分の張り出し幅は、板厚の12倍前後になっています。I形鋼とH形鋼のウエブ部分は、両端で拘束された板ですので、板厚の30〜60倍の板幅になっています。倍率の違いは、その部材を曲げ材で使うか、圧縮柱として使うかの用途にあって、板厚決定の理論的な根拠は板の局部座屈変形を起こさないことです。プレートガーダーは、板断面選択のバランスを考えて全体構造を構成します。細部構造とは、板厚・板幅・リベットまたはボルト継ぎ手の詳細・補剛材の寸法と配置、などです。これらは、設計断面の提案を元に製作図を作成するときに、具体的な形状・寸法を決めます。多くの場合、製作時の経験を踏まえたデータを使いますので、公文書的にまとめる設計計算書では、0から理論と計算手順を説明することを省きます。例えば、座屈を考えて板厚と板幅とを決める過程の説明を省きます。その結果が座屈に対して安全であることの計算は、必要に応じて説明を加えます。特に、上フランジは、圧縮材として横方向に倒れる座屈の安全を検証します。
2009.8 橋梁&都市PROJECT

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