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5. プレートガーダーの構造

5.1 考え方の経緯


5.1.3 輸送と架設も考えられたこと

図5.3 鉄道橋で使う下路プレートガーダーの構成図
(鋼橋設計資料、橋梁研究会、昭和31年、技法堂)
 鉄道橋に使う小支間のプレートガーダーは、工場でほぼ完成状態で製作し、それを台車に載せて列車輸送し、現地でそのまま手延べ式架設をしながら軌道を伸ばす方法が取られます。JRの客車は、標準長さ20m、幅3m弱ですので、この平面寸法と積載高さ約4mに入る桁寸法が経済的な輸送単位です。これ以上の桁寸法であると、幾つかの部材に分けて輸送し、現地で組み立ててから架設する手間がかかります。このことを頭に入れておきます。そうして、プレートガーダー鉄道橋が架かっている現地で、列車が橋上を走行しているのを見るか、写真で観察すると、橋の長さの見当がつきます。溶接構造が利用できるようになって、桁高を高くした支間30m(100フィート)を超えるプレートガーダーも製作できるようになりました。ただし左右の桁間隔も相対的に広くしますので、かなり剛性のある横桁が必要になり、また、レールを支える個所の縦桁が余分に必要です。桁高が高くなると、上路形式では軌道面から下の桁下空間を圧迫しますので、橋断面形状を凹形にしたスルー(下路)形式も採用されます(図5.3)。鉄道橋は道路と違い、人が安全に通行する床版などを特に設けず、いわば隙間だらけの構造(開床構造)です。往時の鉄道客車の便所は垂れ流し方式でした。都市部では、特に垂れ流しは困りますので、橋梁部は鉄筋コンクリートの床版を載せ、砂利を敷く路床も施工されます(閉床構造)。当然のことながら、自重も増えます。
2009.8 橋梁&都市PROJECT

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