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5. プレートガーダーの構造

5.1 考え方の経緯


5.1.2 上フランジは荷重の直接載荷に注意していること

 鉄道橋に使う上路プレートガーダーでは、列車の輪荷重は、レールと枕木とを介して分散させて上フランジに載ります。この個所は、トラス上弦材としての圧縮力が作用すると同時に、荷重が集中して局部的に曲げや剪断を受けます。機関車の重い動輪荷重は、レールを介するとは言え、局部的にはフランジ直上に載りますので、最悪の場合、フランジ・ウエブ部分のリベットや溶接を各個撃破的に破壊してしまいます。したがって、断面の設計では、板厚と板幅を決める段階のときに、全体構成とのバランスを注意深く検討します。単線の小支間鉄道橋であれば、レール軌間1067mm(3フィート6インチ)を生で支えるように、左右の桁間隔を軌間より僅かに広くするのが合理的です。しかし、桁間隔が狭いと、偏心載荷による捩れ変形に不安がありますので、あまり大きな支間には向きません。JIS規格のI桁をそのまま使う場合は、支間が5m前後の単純橋が施工できます。トラスの鉄道橋は、パネル間隔が8m前後になりますので、パネル間の縦桁が必要です。これが小支間のプレートガーダーの性格を持ちます。その程度の支間では、左右の桁間隔として1.7mが取られています。鉄道橋は荷重体系が大きいので、より大きな支間をプレートガーダー形式で渡るには、桁高を大きくし、左右の桁間隔も相対的に広げなければなりません。支間を大きくするには、ウエブ高さが高く取れる幅広の一枚物の圧延鋼板が必要です。その最大板幅は、約1.8m(6フィート)以下が普通ですので、20m前後までの支間のプレートガーダーが多く架設されています。
2009.8 橋梁&都市PROJECT

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